スパッタ法(スパッタリング法)の概要 - スパッタターゲットを用いて成膜※本資料は個人の学習用として制作されたものであって、内容の信憑性については保証しません。■ イオン衝突にともなう諸現象 ・ターゲット材の中性原子、分子の放出(スパッタ) ・ターゲット材のイオンの放出 ・電子放出 ・気体の放出 ・気体の分解、放出 ・スパッタされた粒子の逆戻り ・放射線発生 ・衝突イオンの跳ね返り ・衝突イオンの中性化、反射 ・加熱 ・ターゲット材の結晶変化 ・ターゲット材への衝突イオン拡散(インプランテーション) ■ スパッタのしきいエネルギー 15電子ボルト(eV)以下になると、スパッタされなくなる。これをしきいエネルギーと言う。 ※電子ボルト 電気素量eの電荷をもつ粒子が真空中で電位差1Vの2点間で加速されるときに得るエネルギー。素粒子,原子核,原子,分子などのエネルギーを表わす単位。記号はeV.1eV=1.602×10-19J(ジュール)=1.602×10-12erg(エルグ)。 アルゴン雰囲気化で、100eV程度までは急激なスパッタレートの上昇が見られる。それ以上はエネルギー上昇につれて、徐々にスパッタレートが上がる感じ。 ■ スパッタされた原子の飛ぶ方向 歪みはあるものの、CosineLawに従って飛んでいく。加速エネルギーを高めると、円周の範囲が大きくなる。 ■ スパッタ率の違い ・原則として希ガスの場合には、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、と原子番号が高くなるほど、スパッタ率が高くなる。 ・同一周期の右の元素ほどスパッタ率が高い。 例:400eV、アルゴンの場合のスパッタ率[atoms/ion] Mo:0.7程度、W:0.5程度、Ag:2.7程度 ※高融点金属ほどスパッタレートが低い傾向がある。 ■ スパッタされた粒子の速度 最大秒速3.6km(時速11000km/hr)にも達する。 ■ スパッタの主な方式 ・2極スパッタ:仕組みが簡素。ただし、放電を得るために真空圧力が高め(1x10-2Pa)。 ・3極または4極スパッタ:2極スパッタよりも真空度が一桁高い。熱電子放電を利用する。 ・マグネトロンスパッタ:放電電圧は低くてよく、真空度が高くてよい。スパッタ方式の主流。 ・ECRスパッタ:圧力は低くできるが、面積は大きくできない。 ・高周波スパッタ:スパッタ用電源に高周波を用いる。金属以外のスパッタも可能。 ・リアクティブスパッタ:スパッタ空間に酸素や窒素などの活性ガスを適量混ぜて、ターゲット材の化合物膜を作る場合に用いる。 ・バイアススパッタ:基板にも電圧をかける方式。残留ガスによる薄膜の酸化を防ぐ目的で使う。 ■ マグネトロンスパッタ 磁場のトンネルに沿った、ドーナッツ状の放電が見られる。 マグネトロンスパッタは、同じ電圧で他のスパッタ方式の10~100倍の電流密度が得られる。電流密度が高いほど、スパッタ速度も速くなる。 ターゲット下のマグネットを動かすことによって、固定した場合の2~3倍の利用率が得られ、ターゲット材の2/3程度使用することができる。 ■ アルミニウム合金のスパッタ 150℃以上で行われる。 ・硬度が50以下で安定する。(エレクトロマイグレーションの断線がなくなる) ・抵抗値が低い状態で安定する。(150℃以下だと、抵抗率が高くなる) 真空は良い程、鏡面反射が良い。鏡面反射が良いものは、ボンディングもエッチングも良好。 ■ タンタルのスパッタ 融点が高く、スパッタ以外の薄膜生成は不可能。 窒素ガスを若干混入することにより、抵抗値が長期安定した薄膜を作ることができる。 ■ ITOのスパッタ ターゲット表面でO-(酸素)イオンが発生し、ターゲットに対して正電位である薄膜にひきつけられて、薄膜をスパッタしてしまう。 エロージョンセンター付近の薄膜が酸素イオンによってスパッタされ、薄くなってしまい、抵抗値が上がってしまう。 対策としては、低電圧でスパッタする、基板をターゲットに対して縦に置くなど。 ■ 超微細孔のスパッタ アルゴン注入を途中でやめてしまう。しかし、スパッタは持続。 スパッタ粒子が途中プラズマ化して、ターゲット材に衝突、スパッタ粒子がまっすぐに超微細孔に向かう。(セルフスパッタ) アルゴンがあると、スパッタ粒子がアルゴンとぶつかって角度を変えてしまい、うまく超微細孔にはいっていかない。
・薄膜生成方法(真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタ、CVD)の違い ・薄膜の構造と性質について説明 ・蒸着法&イオンプレーティング法の概要 ・スパッタ法(スパッタリング法)の概要 ・スパッタリングターゲットの基礎知識 ・気相成長法(CVD法)の概要 ・めっき法の概要 ・真空の定義 ・ホームへ |